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第51話 静かに滲む違和感

Author: marimo
last update publish date: 2026-03-09 20:33:16

マンションの朝は、思っていたよりも静かだった。

 通勤ラッシュの時間帯を外れているせいか、外から聞こえるのは、遠くの車の音と、どこかの部屋で鳴る生活音だけ。

 綾乃は、キッチンでマグカップを手にしたまま、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

 昨夜、和真が置いていった総菜の残り。

 丁寧にラップがかけられ、冷蔵庫の中で整然と並んでいる。

(……几帳面すぎる)

 そう思った瞬間、なぜか胸の奥が小さくざわついた。

 昨日は、ありがたいと思った。

 何も聞かず、踏み込まず、ただ「食べろ」「休め」と言って帰っていった。

 あれは、確かに優しさだったはずだ。

 それなのに。

 綾乃は冷蔵庫を閉め、リビングを見渡す。

 ソファの横。

 クッションの向きが、少し変わっている。

(私、ここ……直したっけ)

 たいしたことじゃない。

 そう言い聞かせて、首を振る。

 スマートフォンが震えた。

 和真からのメッセージだった。

『ちゃんと寝られた? 朝、冷えるから無理するなよ』

 画面を見つめながら、指が止まる。

(……どうして、冷えるって知ってるの)

 昨夜、エアコンを切った話はしていない。

 それに、この部
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